« 2015年8月 | トップページ | 2015年12月 »

2015年10月

2015年10月26日 (月)

惑星の破片をむさぼる「ゾンビ星」を観測

Ph_thumb

白色矮星が近くの天体を崩壊させている現場が、このほど初めて観測された。崩れていく天体は、今後100万年以内に、白色矮星の表面に金属の塵だけを残して消滅してしまうだろう

  この発見について報告する論文は『ネイチャー』最新号に掲載された。論文の筆頭著者である米ハーバード・スミソニアン天体物理学センターのアンドリュー・ヴァンダーバーグ氏は、「多くの研究者が、こういう現象が起こっているに違いないと思っていましたが、今回ついに現場を押さえることができたのです」と説明する。

 

 

第2の地球を探していたら

 

 

 WD 1145+017はおとめ座の白色矮星で、地球からは約570光年離れている。この星が奇妙なふるまいをしている証拠を最初に発見したのはケプラー宇宙望遠鏡だった。この望遠鏡は、惑星が恒星の前を横切るときに恒星の明るさが一時的に変化する「トランジット」という現象を利用して太陽系外惑星を探している。

 

 ヴァンダーバーグ氏は、「私たちはケプラー宇宙望遠鏡で白色矮星を観測していたわけではなかったのです」と打ち明ける。なぜなら白色矮星は「ゾンビ星」とでも呼ぶべき天体で、太陽のような星が年をとり、膨れ上がって赤色巨星になった後、外層のガスが失われた、おそろしく高温で高密度の燃えさしであるからだ。一方、ケプラー宇宙望遠鏡が探しているのは生命が居住できるような太陽系外惑星で、そうした惑星は比較的若い主星のまわりの穏やかな環境にあると考えられている。(参考記事:「地球に「最も似ている」太陽系外惑星を発見」

 

 そのためWD 1145+017はケプラー望遠鏡の観測対象ではなかったが、たまたま視野に入っていた。惑星探しの専門家であるヴァンダーバーグ氏らはすぐに、白色矮星の前を何らかの天体が横切ってトランジットが起きていることに気がついた。けれども、その天体の正体を明らかにするためには、地上にある数基の望遠鏡を使って観測を行う必要があった。

 

 観測の結果、問題の天体(1個かもしれないし、数個かもしれない)は白色矮星のまわりを猛スピードで公転していて、わずか4.5~4.9時間で1周していることが分かった。このことから、白色矮星からその天体までの距離が、地球から月までの距離よりはるかに小さいことが分かる。

 

 この天体が非常に小さいことも分かった。一般に、白色矮星は非常に小さいので、ふつうの惑星が前を横切ればほとんど見えなくなってしまう。ところが今回の観測では、白色矮星は最大でも40%しか暗くならなかった。さらに奇妙なことに、暗くなる度合いにばらつきがあり、ぐっと暗くなることもあれば、あまり暗くならないこともあった。予想どおりのタイミングで暗くならないこともあった。おまけに、暗くなってから徐々に明るくなることもあった。トランジットを起こしているのが惑星であるなら、急激に明るくなるはずなのだ。

 

 

惑星が崩れ、塵の雲が伸びる

 

 

 天文学者が白色矮星の奇妙な性質に気づいていなかったら、この現象を説明するのは困難だっただろう。実は10年ほど前から、一部の白色矮星の大気中にマグネシウム、ケイ素、アルミニウムなどの比較的重い元素が存在していることが分かってきて、科学者たちの首をかしげさせていたのだ。英ウォーリック大学の天文学者で、白色矮星の重元素汚染について研究しているボリス・ゲンジケ氏は、「こうした元素は比較的短期間で消滅するはずなのです」と言う。それが消滅していないという事実は、比較的新しい時期に補充されたことを意味する。なお、ゲンジケ氏は今回の研究には参加していない。(参考記事:「最新研究で見えてきた「生命の星」地球のレシピ」

 

 もう1つの奇妙な事実は、多くの白色矮星のまわりに塵の雲が渦を巻いているように見えることだ。おそらくこの雲が、白色矮星の大気に重元素を補充している。私たちの太陽系にある塵は小惑星どうしの衝突によって生成されているが、ヴァンダーバーグ氏らの観測によると、WD 1145+017のまわりの塵は小惑星どうしの衝突ではなく、惑星の破片や小惑星といった微小な天体が白色矮星の強力な重力場によって破壊される過程で生成しているようだ。こうした微小天体は、崩壊しながら長い塵の尾を引いている。白色矮星の前を横切って明るさを暗くしているのは、微小天体そのものではなく、この塵の尾の方なのである。

 

 そう考えれば、白色矮星が暗くなってから徐々に明るくなる理由が分かる。「微小天体から離れるにつれて塵の尾が薄くなり、光を通すようになるからです」とヴァンダーバーグ氏は言う。トランジットが起こったり起こらなかったりする理由も分かる。塵の雲は生まれては消えてゆくからだ。さらに、岩石質の微小天体に豊富に含まれる重元素が白色矮星の大気に供給されるしくみも説明できる。

 

 ヴァンダーバーグ氏らの幸運な発見は、将来的には、強力な観測技術として太陽系外惑星の研究に利用されるようになるかもしれない。『ネイチャー』の論文の解説記事を執筆した英ウォーリック大学の天文学者フランチェスカ・フェイディー氏は、「崩壊する惑星と金属に汚染された白色矮星をもっとよく調べることで、惑星の核に由来する物質とマントルに由来する物質を区別できるようになるかもしれません」と言う。

 

 今回観測された現象についてはほかの解釈もできるかもしれないが、ゲンジケ氏は、ヴァンダーバーグ氏らの解釈が正しいと確信している。「私には、ほかの解釈は考えられません。私たちが10年かけて練り上げてきた筋書きがそのまま実現していたのですから、これほど嬉しいことはありません」。(参考記事:「地球型惑星を“食べる”白色矮星発見」 

2015年10月13日 (火)

『科学の大発見』はもうない? 天才の科学者の間では、そう思っているのだろうが、ある意味で自然科学にたいしての傲慢な話ではないか。凡人論です。

Nobellagtimephysics1_78510_600x390

スイスの欧州原子核研究機構(CERN)にある大型ハドロン衝突型加速器(LHC)。ヒッグス粒子の存在の確認に使用された。

 ノーベル賞の受賞理由となる業績の発表から、実際に選考されるまでの期間は以前に比べて長くなっている。このことは、科学の世界にはもう画期的な大発見の可能性が残っていないことを窺わせるものだと、かつてのベストセラー『科学の終焉』の著者ジョン・ホーガン氏が改めて指摘する。 科学界で“ネタ切れ”が起きていることを窺わせる兆候が、近年いくつも確認できる。とりわけ、万物の根本原理を探る基礎物理学の分野でそれを感じる。私は1996年の著書『科学の終焉(おわり)』(邦訳:徳間書店1997年)の中で、こうなることを既に予測していた。

 4月9日付けで「Nature」誌オンライン版に掲載された指摘も、こうした兆候のひとつだ。科学の業績が発表されてからノーベル賞を獲得するまでの期間が以前より長くなっていることを、フィンランドのアールト大学で複雑系を研究するサント・フォルトゥナト(Santo Fortunato)教授らのチームが指摘している。

 この傾向は生理学・医学賞では比較的目立たず、物理学賞で最も顕著だという。1940年以前の受賞者のうち、20年以上前の業績を評価されたのは、物理学賞ではわずか11%、化学賞で15%、生理学・医学賞で24%だった。ところが1985年以降にはこの数値は跳ね上がり、物理学賞で60%、化学賞で52%、生理学・医学賞で45%となっている。ノーベル賞は存命人物のみを対象としているので、もしこの傾向が今後も続けば、今世紀末には受賞まで生き長らえる研究者はいなくなってしまうとフォルトゥナト教授らは書いている。

「Nature」誌への短い寄稿の中では、フォルトゥナト教授らはノーベル賞の今後についての懸念を表明するに留めている。しかし同じチームは別の未発表の論文の中ではもう一歩踏み込んで、ノーベル賞の授賞決定の遅れは「自然科学の基礎研究の分野においては、新発見が認められるまでに要する時間が増しているという共通認識を裏づけるもののように思われる」と指摘している。「この傾向はやや心配である」。

 これを読んで思い出したのは、「アインシュタイン以後、天才科学者は絶滅した」とする小文である。著者は心理学者のディーン・キース・シモントン(Dean Keith Simonton)氏で、やはり「Nature」誌に昨年掲載された。科学者は科学の発展の犠牲になっているとシモントン氏は指摘する。「理論と装置(の発展)によって、今では宇宙の誕生の瞬間や宇宙空間の果てまでが探索できるようになった」ため、現在の科学研究とは「既に確立された、特定の分野の中の知識」に何かを付け加えることでしかなく、飛躍的な重大発見は望めないというのだ。私も『科学の終焉』の中で、同じようなことを書いている。

 もちろん、すべての物理学者が同意見だというわけではない。イギリスの天体物理学者のマーティン・リース(Martin Rees)氏は、ノーベル賞について正反対の見方を示している。授賞の遅れは「候補者の数が増え続けている」ことの現れだというのだ。

 リース氏の考えでは「かつてないほどの数の人が、初期の受賞者の大多数と同水準の業績を達成している」とのことだ。そのリース氏も「素粒子物理学の分野には確かに若干の停滞が見られる」と認めている。

 近年、大型ハドロン衝突型加速器(LHC)での実験を通じてヒッグス粒子の存在が確認されたことは、素粒子物理学の勝利であるとともに、この分野の問題を示してもいる。ヒッグス粒子の存在が確認されたことで、その存在を最初に提唱したフランソワ・アングレール氏とピーター・ヒッグス氏が2013年にノーベル物理学賞を受賞したが、この提唱は実に半世紀も前に行われたものだ。

 LHCでの実験で裏づけられたヒッグス氏らの仮説は、素粒子物理学の基礎となる標準理論(標準模型)の花形選手と目されている。しかし、「森羅万象のほぼすべてを説明する理論」と言われている標準理論も、実際には物事を完全には説明できていない。そこで物理学の世界では、この数十年ほど、標準理論の克服を目指して、さまざまな「統一理論」が提唱されている。これらの中で特に人気が高いのは、9またはそれ以上の次元の超空間において振動する微小な弦を万物の根源に据えるものだ。

 しかし、この弦理論をはじめとするさまざまな統一理論の根拠はまだ明確でなく、それゆえノーベル賞の対象ともなりにくい。近年のノーベル物理学賞は、標準理論などの既存の理論の発展に貢献した研究に授与されており、万物を説明しうる新たな優れた仮説が評価されることはない。

 基礎研究の時代は終わったという私の見方が、むしろ間違いであれば良いと思う。例えば1990年代後半に宇宙の拡大が加速していることを発見した天体物理学の2つの研究チームは、2011年にノーベル物理学賞を受賞した。この発見はまったく予想外で、宇宙に関する私たちの理解がまだ不完全であると感じさせるものだった。

 さらに先月には、宇宙にあまねく存在するマイクロ波の観測によって、初期宇宙における“インフレーション”が裏づけられたとの研究が発表された。インフレーション理論は、私たちの宇宙がビッグバンの直後に超光速で膨張したとする画期的なものだ。この理論は、私たちの宇宙全体が、さらに大きな「マルチバース(多宇宙)」の中に含まれる小さな泡沫のひとつにすぎない可能性すら示している。

 ただし、私はまだインフレーション理論には懐疑的だ。この理論にはさまざまなバージョンがあって、それゆえ事実上すべての観測結果を「予測」できることになっているが、それは実際には何も予測できていないのと同じことだ。弦理論にも同じことが言える。マルチバース理論については、私たちの宇宙のほかにいくつ宇宙があると仮説を立てても、その宇宙は定義上、観測不可能なのだ。

 そして、このように純理論的な仮説に人気が集中していることこそが、これ以上新たな発見は望めそうにないと考える最大の理由である。

 とはいえ、もし今後の観測によって新たに十分な根拠が見つかり、インフレーション理論がノーベル賞を受賞するのであれば、それは嬉しいことだ。物理学者で、マルチバース理論を支持する立場のマックス・テグマーク(Max Tegmark)氏は、インフレーション理論はノーベル賞を「狙える」位置にあると考えている。

 だがもしインフレーション理論にノーベル賞を認めるのであれば、急がねばならない。この理論が初めて提唱されたのは30年以上前のことで、提唱者のアラン・グース(Alan Guth)氏は現在67歳、アンドレイ・リンデ(Andrei Linde)氏も66歳になっている。

Photograph by Rex Features, AP

*******************

 

 素人なりに、天才科学者の間では、大まかな基本的発見はなされてしまった。後は枝葉末節な部分での研究がなされるだけだと。

 しかし、私たちは、『知らないことが、何であるかを知らない』という状態にあるのではないか。今そう言うのであれば、アインシュタインの理論が出てきた段階でそう述べるべきではなかったか。

 ノーベル賞対象の研究テーマが無くなった。ということなのだろうか。科学者も歴史に名を残したいという気持ちは解るが、理論的な発展も、実験的発展も、何かの直感的閃きで、そこに到達するための理論構築や、実験中の失敗の中から閃きなどで、進んだ科学世界があるのではないか。

 研究世界の地道な事の積み重ね、まさに執念に取り付かれたような研究成果が現代に存在している。

 第二のアインシュタインの出現を待つしかないか???

 天才科学者の傲慢さが如実に表現されているのでは・・・・・・。

 

 話は変わる。今、盛んに観測と、その装置の感度が進む重力波観測がある。

 ノーベル賞受賞の東京大学教授の梶田さんも、この重力波検出装置を岐阜県のカミオカンデの地下で製作中だ。

 一方、ビクバーンの原因となる、インフレーション理論の証拠としての重力波の検出が世界的に競争されている。

 アメリカの南極での検出成功という発表で世間を騒がせたが、ノイズとの区別がつかない。というよりもノイズに近いのでは、という審査結果が出ている。

 インフレーション理論が検証されれば、日本の東大名誉教授の佐藤さんとアメリカの科学者が、ノーベル賞が確定するだろう。

 また、電磁波での宇宙の観測が、重力波望遠鏡として別の宇宙の世界観の確率という、新たな問題も提起されるだろう。

 

 物質と反物質との関係も

 反物質という奇妙な世界が、人間には観測不可能とされる遠い宇宙のどこかで、まとまって存在してる可能性はないかなどがある。

 天才科学者のアインシュタインのような、根本原理の構築は、発見されないだろうが、まだ重力の謎が完全には解決できてはいない。

 ブラックホールの謎、『蒸発』しているということはどういうことか、など、など。

 ******************

 科学・自然科学の世界の話ならば、宇宙を見上げるばかりではない。

 宇宙物理学者が言う言い訳が、『我々人類はなぜ生存できてるのか』探ることが究極の目的です。

 良く言うよ! 好きだからやってるのだろ。できることなら歴史に名を残したい。それが野望だろう。

 我々生物に目を向けて見てよ!

 命に関わることであれば、『癌』が生物進化の過程を含めてまだ究明し尽くしていない。

 もっと身近なところでは、『かゆみ』の原因すら解っていない。

 宇宙もそうだが、まだまだ、解らない事だらけのこの世界。

 どこの国でも、沢山の税金を使ってきたのに歴史的大発見ができない。特許料を沢山得る発見ができない。ノーベル賞が貰いにくくなってきた。

 好きな研究をしながら、欲張るな!

 

 

 

« 2015年8月 | トップページ | 2015年12月 »